2011年 03月 16日
LED電球は暗い |
白熱電球を蛍光灯電球(電球型の蛍光灯)に置き換える動きも一段落した感じだ。白熱電球の老舗、東芝に至っては白熱電球製造終了を宣言した。
ここにきて、更なる省電力を謳ってLED電球が台頭しつつある。高価なLED電球に交換する人も増えてきている。しかしLED電球は「暗い」という事実はどのぐらい認識されているのだろうか。
ごく一部の国産の高価な製品を除けば、殆どのLED電球はWあたりの明るさが蛍光灯電球より小さい。それなのに「省電力」を前面に出すためかLED電球は蛍光灯電球より更にW値を低く設定されている。例えば「60W型」で比較するなら、蛍光灯電球では本当に60W電球の明るさを再現できる810lmが標準で12-13Wが普通だが、LED電球の「60W型」は8Wぐらいの物が多い。多分、LED電球にはまだ業界内での自主規範がないのだろう。当家では東芝ライテックの「E-CORE」の昼白色をトイレに採用したが、これが当家で唯一「蛍光灯電球より明るいLED電球」である。6.4Wでルーメン値は520lm。そして表示も良心的に「40W電球相当」とある。同社の蛍光灯電球「ネオボールZ」の40W型(8W)は最も明るい電球色で485lm、昼白色では465lm(昼光色に至っては440lm)。確かに60W型と呼ぶには相応しくない、むしろ40W型と呼ぶに相応しい光量ではあるが、蛍光灯よりも高効率だ。しかしその他の比較的安価に出回っている製品(多くは韓国・中国製。日本はちよっと量産化で遅れを取っている感じ)では60W型と称しながら8W程度で、昼白色でも440lm程度、電球色になると300lmにも満たないものが出回っている。何を以って「60W型」と名乗るのか、今後業界内標準が策定される事を願ってやまない。
60W型と称しながらその実40W型程の明るさもないのは感心しないが、分っていれば使いようはある。LED電球はまだまだ改良されるだろうし、蛍光灯よりも長寿命が期待できる点は現時点でも評価できる。
余談だが、蛍光灯電球では「電球色」がW値あたり最も明るく「昼白色」は中ぐらいで「昼光色」は暗い。
LED電球では「電球色」が暗く「昼白色」が比較的明るい。これは使われる発光体の効率に起因するものなのだろう。今後新しい発光体が開発されたら大きな変化があるかも知れない。
店頭では蛍光灯電球は「電球色」と「昼光色」ばかりで「昼白色」を排除する傾向がある。理由は不明だが個人的には昼光色が嫌いで夏場も昼白色を使いたいので探すのに苦労した。LEDでは昼光色を殆ど見かけない。昼白色が手に入り易いのは歓迎だ。
「改良」のひとつの動きとして「低価格化」は消費者も望んでやまぬところだろう。そのひとつのソリューションとして「AC-LED」が登場してきた。当家でもオーム電機の「ACLEDS」(アクレーズ)を試してみた。
LEDは本来、直流点灯素子であり、逆方向の電圧をかけると割と脆いという特徴(敢えて「弱点」とは言うまい)を持っている。このため、交流100Vで点灯するためには「点灯回路」が必要となる。点灯回路は蛍光灯電球でも使われている。電球形状の中に納めるためインヴァータ点灯を採用し、結果的に同じW数の直管蛍光灯より明るかったりする。
LEDの点灯回路はLED用なので内容は全く違うが「点灯回路」は当然、コストに密接に関わる部分となる。AC-LEDはその名の通りAC点灯が可能なLEDであり、点灯回路を必要としない。日本の電灯線用に設計されたAC-LEDを使えばソケットから発光素子へ直接配線するだけで電球を構成できる。これが量産化されればコストはかなり削減できる。
AC-LEDの大きな特徴は「ちらつく」事だろう。電源周波数に同期して点滅するからだ。いわゆる「ストロボ」状態で、この灯りの下で速く動く物はその軌跡が点線状に見える。「手を振る」程度の速さで充分にそれは確認できる。
蛍光灯電球も従来型のLED電球も、小型化・高効率化のため点灯回路には比較的高い周波数を使っているため人間の目にちらつきを感じる事はない。ここでも敢えて「欠点」ではなく「特徴」と呼んだ。見慣れた直管や輪形状(東芝の商標だと「サークライン」)の蛍光灯がこれと同様の点滅をしていて問題にはされていないので敢えて「欠点」と呼ぶのは避けた。
ある時、ふと気になった。「点滅」しているという事は「点灯していない時間」があるという事だ。LEDは瞬間的な過電流でもただちに破壊してしまう。だから瞬間的にも最大定格を超える事は許されない。電球のフィラメントは瞬間的な過電流ではすぐには焼き切れない。平均的に連続して過電流が流れると焼き切れる。電流の平均値が定格内なら瞬間的に大電流が流れても次の瞬間は電流が低くなるのなら帳尻でOKなのだ。だから直流でも交流でも60W電球には60W(時間的に平均して60W)を加える事ができる。しかしLEDでは瞬間的にでも最大定格を超える事は許されない。なので連続点灯して60W級の発光体でも点滅させたらそのデューティー比(ONになっている時間比率)分だけ「暗く」ならざるを得ないのだ。
将来、正弦波でなく方形波で点灯するAC-LEDが登場したら、LED(発光部)としての改良なしでも今より数割明るくなり、同時にちらつきも格段に減るだろう。そんな方向の「改良」にも期待したいところだ。
LED電球はまだまだ改良が待たれるところだが、寿命が長い以外にもうひとつ蛍光灯電球に対するアドヴァンテージがある。それは「点灯した瞬間から最大光量が得られる」事だ。蛍光灯電球では最大光量を得られるまでに30秒~2分がザラで、その時間の[比較的]短い物は「すぐ明るい!」と大書しているがそれでも直ちに最大光量は得られない。そして比較的安価な製品だとこの待ち時間は同型の製品でもロットにより結構まちまちだったりもする。LED電球にはそういうムラはない。用途によっては重要なポイントともなり得る。
過去記事「オームは頑張ってる」にトラックバック。
AC-LEDの供給元かと思ったアクレッドのサイトによると「LED照明のメリット」として「LED照明は直流点灯のため常時点灯しているのでちらつかない」と書かれている。これはどういう事なのだろう。
・オームのACLEDSはアクレッドとは関係ない
・この説明はアクレッドの提供するAC-LEDとは関係ない
・オームに提供した後、ちらつかないAC-LEDが開発された
いずれにせよ、ちらつくAC-LEDが世に出ているのだから紛らわしくない書き方をして欲しいなぁ。いや、それ以前に「AC-LED」というのは一般名詞なのだろうか。マルRついてないからアクレッドの商標というわけではないのでは。
検索してみると、この「ちらつく」AC-LEDは第一世代製品であり、既にちらつきを抑える技術がいくつか発表されているらしい。アクレッドが自ら商品化している製品はそういったものなのかも。他社からも「アクリチ」とかAC直接駆動LEDは出ているようだし。
6/11'11追記>
6/9に秋葉原でオーム電機の製品発見。810lmて事は堂々の「60W型」ではないか。2,840円は安くないがこのクラスの光量の製品としては破格(東芝の半分ぐらい?)だ。お店の人は「どう見ても810はないと思う…」と言ってたけど、それでも充分に破格だと思う。
いよいよLEDが本格的に蛍光灯に代わる日が近いのか?でもこれ、点灯時に一瞬だけどラグがあるな(苦笑)。ただし電球色は600lm。やはりLEDは電球色が苦手なのはまだまだ変わらないようだ。
ここにきて、更なる省電力を謳ってLED電球が台頭しつつある。高価なLED電球に交換する人も増えてきている。しかしLED電球は「暗い」という事実はどのぐらい認識されているのだろうか。
ごく一部の国産の高価な製品を除けば、殆どのLED電球はWあたりの明るさが蛍光灯電球より小さい。それなのに「省電力」を前面に出すためかLED電球は蛍光灯電球より更にW値を低く設定されている。例えば「60W型」で比較するなら、蛍光灯電球では本当に60W電球の明るさを再現できる810lmが標準で12-13Wが普通だが、LED電球の「60W型」は8Wぐらいの物が多い。多分、LED電球にはまだ業界内での自主規範がないのだろう。当家では東芝ライテックの「E-CORE」の昼白色をトイレに採用したが、これが当家で唯一「蛍光灯電球より明るいLED電球」である。6.4Wでルーメン値は520lm。そして表示も良心的に「40W電球相当」とある。同社の蛍光灯電球「ネオボールZ」の40W型(8W)は最も明るい電球色で485lm、昼白色では465lm(昼光色に至っては440lm)。確かに60W型と呼ぶには相応しくない、むしろ40W型と呼ぶに相応しい光量ではあるが、蛍光灯よりも高効率だ。しかしその他の比較的安価に出回っている製品(多くは韓国・中国製。日本はちよっと量産化で遅れを取っている感じ)では60W型と称しながら8W程度で、昼白色でも440lm程度、電球色になると300lmにも満たないものが出回っている。何を以って「60W型」と名乗るのか、今後業界内標準が策定される事を願ってやまない。
60W型と称しながらその実40W型程の明るさもないのは感心しないが、分っていれば使いようはある。LED電球はまだまだ改良されるだろうし、蛍光灯よりも長寿命が期待できる点は現時点でも評価できる。
余談だが、蛍光灯電球では「電球色」がW値あたり最も明るく「昼白色」は中ぐらいで「昼光色」は暗い。
LED電球では「電球色」が暗く「昼白色」が比較的明るい。これは使われる発光体の効率に起因するものなのだろう。今後新しい発光体が開発されたら大きな変化があるかも知れない。
店頭では蛍光灯電球は「電球色」と「昼光色」ばかりで「昼白色」を排除する傾向がある。理由は不明だが個人的には昼光色が嫌いで夏場も昼白色を使いたいので探すのに苦労した。LEDでは昼光色を殆ど見かけない。昼白色が手に入り易いのは歓迎だ。
「改良」のひとつの動きとして「低価格化」は消費者も望んでやまぬところだろう。そのひとつのソリューションとして「AC-LED」が登場してきた。当家でもオーム電機の「ACLEDS」(アクレーズ)を試してみた。
LEDは本来、直流点灯素子であり、逆方向の電圧をかけると割と脆いという特徴(敢えて「弱点」とは言うまい)を持っている。このため、交流100Vで点灯するためには「点灯回路」が必要となる。点灯回路は蛍光灯電球でも使われている。電球形状の中に納めるためインヴァータ点灯を採用し、結果的に同じW数の直管蛍光灯より明るかったりする。
LEDの点灯回路はLED用なので内容は全く違うが「点灯回路」は当然、コストに密接に関わる部分となる。AC-LEDはその名の通りAC点灯が可能なLEDであり、点灯回路を必要としない。日本の電灯線用に設計されたAC-LEDを使えばソケットから発光素子へ直接配線するだけで電球を構成できる。これが量産化されればコストはかなり削減できる。
AC-LEDの大きな特徴は「ちらつく」事だろう。電源周波数に同期して点滅するからだ。いわゆる「ストロボ」状態で、この灯りの下で速く動く物はその軌跡が点線状に見える。「手を振る」程度の速さで充分にそれは確認できる。
蛍光灯電球も従来型のLED電球も、小型化・高効率化のため点灯回路には比較的高い周波数を使っているため人間の目にちらつきを感じる事はない。ここでも敢えて「欠点」ではなく「特徴」と呼んだ。見慣れた直管や輪形状(東芝の商標だと「サークライン」)の蛍光灯がこれと同様の点滅をしていて問題にはされていないので敢えて「欠点」と呼ぶのは避けた。
ある時、ふと気になった。「点滅」しているという事は「点灯していない時間」があるという事だ。LEDは瞬間的な過電流でもただちに破壊してしまう。だから瞬間的にも最大定格を超える事は許されない。電球のフィラメントは瞬間的な過電流ではすぐには焼き切れない。平均的に連続して過電流が流れると焼き切れる。電流の平均値が定格内なら瞬間的に大電流が流れても次の瞬間は電流が低くなるのなら帳尻でOKなのだ。だから直流でも交流でも60W電球には60W(時間的に平均して60W)を加える事ができる。しかしLEDでは瞬間的にでも最大定格を超える事は許されない。なので連続点灯して60W級の発光体でも点滅させたらそのデューティー比(ONになっている時間比率)分だけ「暗く」ならざるを得ないのだ。
将来、正弦波でなく方形波で点灯するAC-LEDが登場したら、LED(発光部)としての改良なしでも今より数割明るくなり、同時にちらつきも格段に減るだろう。そんな方向の「改良」にも期待したいところだ。
LED電球はまだまだ改良が待たれるところだが、寿命が長い以外にもうひとつ蛍光灯電球に対するアドヴァンテージがある。それは「点灯した瞬間から最大光量が得られる」事だ。蛍光灯電球では最大光量を得られるまでに30秒~2分がザラで、その時間の[比較的]短い物は「すぐ明るい!」と大書しているがそれでも直ちに最大光量は得られない。そして比較的安価な製品だとこの待ち時間は同型の製品でもロットにより結構まちまちだったりもする。LED電球にはそういうムラはない。用途によっては重要なポイントともなり得る。
過去記事「オームは頑張ってる」にトラックバック。
AC-LEDの供給元かと思ったアクレッドのサイトによると「LED照明のメリット」として「LED照明は直流点灯のため常時点灯しているのでちらつかない」と書かれている。これはどういう事なのだろう。
・オームのACLEDSはアクレッドとは関係ない
・この説明はアクレッドの提供するAC-LEDとは関係ない
・オームに提供した後、ちらつかないAC-LEDが開発された
いずれにせよ、ちらつくAC-LEDが世に出ているのだから紛らわしくない書き方をして欲しいなぁ。いや、それ以前に「AC-LED」というのは一般名詞なのだろうか。マルRついてないからアクレッドの商標というわけではないのでは。
検索してみると、この「ちらつく」AC-LEDは第一世代製品であり、既にちらつきを抑える技術がいくつか発表されているらしい。アクレッドが自ら商品化している製品はそういったものなのかも。他社からも「アクリチ」とかAC直接駆動LEDは出ているようだし。
6/11'11追記>
6/9に秋葉原でオーム電機の製品発見。810lmて事は堂々の「60W型」ではないか。2,840円は安くないがこのクラスの光量の製品としては破格(東芝の半分ぐらい?)だ。お店の人は「どう見ても810はないと思う…」と言ってたけど、それでも充分に破格だと思う。
いよいよLEDが本格的に蛍光灯に代わる日が近いのか?でもこれ、点灯時に一瞬だけどラグがあるな(苦笑)。ただし電球色は600lm。やはりLEDは電球色が苦手なのはまだまだ変わらないようだ。
by afternaito
| 2011-03-16 22:41
| 生活
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