PCXの隣に |

今年の正月、帰省した際友人に「そろそろ次の二輪車を探しているんだ」という話をした。そしたら死蔵しているREBELに乗らないかと持ち掛けられた。アメリカンはこれまで選んでこなかったが、ベンリィCD250の360゜直列二気筒エンジンを積んでいると聞いて興味を持った。
しかしその受け渡しはちょっと面倒だった。誰かがその機体を甲府まで運ばねばならない。その点については、彼と僕の両方が休みの日が月に1,2度はあるから彼が甲府まで乗って来て僕が車で彼を送る事で話がついた。
次に、何年も動かしてないREBELを走れる状態にしなければならない。自賠責保険も入り直さねばならない。いずれ寒いうちには50キロ超の遠乗りはしんどいからゆっくりぼちぼちやって貰う事になった。
2月に「なんかいい中古車が出たら教えて」とお願いしていた店からPCXが出たとの連絡があった。結構悩んだ。PCXは是非欲しいが2台持ちで運用できるだろうか。悩んだ末、買った。そのうえで入れ替わりにPCXに乗らないかと友人に持ち掛けてみた。彼も興味を持って検討してくれたが、結局REBELがPCXになったところで大きくは変わらないという判断だった。僕にしたって、四輪車を持ってからは雨の日にわざわざ二輪で出かけようとは思わない。
半年間、PCXのある生活を満喫していたが、その間にもREBEL再生計画は着々と進んでいた。夏に入る頃には走行可能な状態になり、あとは搬送の機会を待つばかりになっていた。搬送の直前に自賠責保険に入って最後の準備が整う。
8月下旬に入り、彼から電話がきた。搬送をいつにするかという打ち合わせの電話だったが、たまたま今月の下請け仕事が終わっていたので「今日でもいいよ」と言ったら一気に話が動いた。
奥方がクルマで一緒に来て僕が送っていく必要はなくなった。いいなあ、いつまでも恋人同士みたいで。

さて。REBELは燃費の確認のため早々にレギュラーガソリンを満タンにした。走ってみると、少し左に引っ張られる感じがある。ハンドルも右側が少し内側に向いている。グリップエンドもなくなっている。二輪の先輩ターキー氏によると「本体に擦り傷がないので立ちごけしたんだろう」との事。ハンドルの歪みは力技で修正してくれた。
アメリカンスタイルはほぼ初めて。学生時代にRacoonに試乗した事はあるが、原付だしなぁ。足つきは非常にいいのだが、シートがアンコ抜きされてる節もある。ちょっと尻が痛いな。それに思ったよりペダルが近くて僕の短い脚でも随分折り畳まれてちょっと窮屈だ。実際何度かつりそうになった。
調子はあまりよくないと聞いていたが、蓄電池が新しいせいか始動性はいいし、40キロぐらいになればトップの5速で周囲の車の流れを乱さない程度に加速もできる。エンジンの調子は悪くないんじゃないの?カタログ通りの21psは望めないかもだけど、それでも125のPCXに乗っているせいか125ccエンジンふたつ並べてるだけの余裕感は感じる。
ベンリィは実用車だから深夜・早朝に住宅地を走れるよう結構静かに作られるが、それと同じぐらいか、もしかしたら趣味性を意識してちょっと味付けされているかも知れない。いずれ等間隔爆発の360゜クランクなので180゜のCB125Tや270゜のVT250Fみたいな腑抜けた音ではなく小気味いい。単気筒の音が1oct.上がった感じ。倍の回転で回る125単気筒に近いのかも知れないがやはり全体に125ではなく250の「迫力」を感じる。そういう「味付け」なのだろうか?
かつて乗ってたCB125Tや彼が以前乗ってて試乗したRZ250Rのような手や膝がビリビリする振動はない。むしろ期待した通り振動も単気筒に近い。エンジンがフレームに固定されているので回転が上がると振動は当然激しくなる。PCXはエンジンがバネ下なので高回転域では殆ど振動が本体に伝わってこない。250クラスになると振動はそこそこ大きくなるのでバランサーが欲しい所だが、REBELは「振動も味わい、楽しむ」というコンセプトなのだろう。当時ホンダは同じ250単気筒でもCBX250にはバランサーを入れたがクラブマンGB250には敢えて入れなかった。
2気筒が交互に(上死点毎に)点火するから2ストっぽい感じかと思ったらそうでもないのね。そう言えば直列4気筒にも乗ってたんだっけ僕(今更か!)。
久しぶりにニーグリップができる機体がなんか嬉しい。攻めるマシンじゃないからニーグリップなんて必須じゃないんだろうけど、初二輪のハスラー50の頃からしっかりニーグリップして走れと教えられたのでニーグリップのないスクーターはなんか「玉を忘れてきたかのような」(すまん、女性にはわからない表現)落ち着かなさがあるんだ。その癖既にPCXでくるぶしグリップする癖がついていたようで、クランクケースに押し当ててしまい結構アチチになった。
あとは消耗品。セルフスタータ始動が可能になるように鉛蓄電池は交換してくれたが、ブレーキパッドは残り僅かだし、タイヤも長年の放置ですっかりひび割れている。チューブタイヤだからいきなりバーストはしないだろうけど、割けたらそこからチュープヘルニアが起きる。オイルも湿式クラッチだから二輪専用品を入れなきゃだし、まぁ年単位で預かる事になりそうだし、楽しむ分は払わないとね。湿式クラッチには摩擦低減系のオイル添加剤も自粛だろうなぁ。でも一度フラッシングはしてみようかな。